セブン―イレブン・ジャパンの国内既存店の連続増収が62カ月で止まったことが8日、明らかになった。10月の既存店売上高は前年同月比0.5%程度のマイナスとなったもようで、前年実績を下回るのは、2012年7月以来となる。日本列島を縦断した大型台風や豪雨により客足が遠のいたことが響いた。

10月はセブンが売り上げを伸ばしてきた月だった。16年10月の既存店売上高は1.7%増、15年10月は4.4%増えた。17年10月の既存店の販売実績は気温が落ち込んだ中旬以降におでんなど冬物商材の販売が伸びたが、客数の落ち込みによる売り上げ減少を補うには至らなかったようだ。

コンビニエンスストア業界全体でも既存店の伸び悩みは顕著だ。日本フランチャイズチェーン協会によると、9月の全国コンビニエンスストア売上高は、既存店ベースで前年同月比0.01%減で4カ月連続で前年を割り込んだ。苦戦の要因は来店客数の減少にあり、9月の来店客数は前年同月比2.1%減で19カ月連続のマイナスとなった。

一方でコンビニの店舗数の増加は続いており、9月時点で大手8社の店舗数は5万5313店で、前年同月比で2.1%増えた。セブンの増収記録が始まった12年8月に比べると約2割も多い水準だ。出店数の増加もあってコンビニ市場全体は伸びが続くが、店舗数の増加に押され既存店の稼ぐ力は弱まっている。

セブンは連続増収を続けた62カ月の間、14年4月の消費増税後の需要低迷や17年2月のうるう年翌年の反動減を乗り越えてきた。セブンで記録に残る限り最も長く、小売業でも異例の記録だ。

セブンの連続増収は「とてもまねできない記録。プレッシャーも相当あっただろう」と競合コンビニの大手幹部は話す。実際、セブンの幹部は「天候のせいにしたくはないが、台風の直撃した月に記録が途切れて肩の荷が降りた」という。

セブンでは総菜や冷凍食品の品ぞろえを広げる新たな店舗レイアウトの導入を進めるが、中食市場を取り込もうとドラッグストアやスーパーも売り場を広げる。アマゾンに代表されるネット通販も市場の拡大を続けるなど競合環境は激しさを増す。連続記録の呪縛が解かれた今、再び連続増収に挑むのか。セブンの次の一手が問われる。

「日本経済新聞電子版より抜粋」