特殊塗料開発のBAN―ZI(バンジ、千葉市)は腐食した鉄を迅速に補修できるジェル状の補修剤を開発した。さびの影響で劣化が激しい部分を平らにして強度を高める。新商品の発売を機に、自社開発の補修剤やさび止め塗料を使って施工するフランチャイズチェーン(FC)店の展開を始め、初年度の店舗売上高3億円をめざす。

同社は紫外線を当てると硬化するポリエステル樹脂のシート「バンジエイド」を既に販売している。真っ二つに折れた直径10センチメートルの鉄製ポールにバンジエイドを巻き付けてつなぎ合わせると、接合部分に300キログラム以上の負荷をかけても変形しないほど高い強度が特徴だ。

このほど新たに開発した鉄補修剤「バンジエイドジェル」はシート状のバンジエイドと併用して鉄部の隙間を埋めたり、でこぼこした鉄の表面を平らにしたりする役割を果たす。エポキシ樹脂を主成分とし、太陽光に当てると約1時間で固まる。

ジェルの開発により、立体駐車場やビルの非常階段などの補修後の強度が増すとともに、塗装作業がしやすくなる。さびが原因で立体駐車場を補修する場合、通常はさびを削り落としてからさび止め用の塗料を塗ったり、溶接したりする手法が一般的だ。

同社の補修はまず、さびた鉄の上から直接塗れるさび止め塗料「サビキラープロ」を塗り、さびの進行を防ぐ。次に鉄のへこんだ部分にバンジエイドジェルを塗り、シート状のバンジエイドを貼り付けて強度を増す。最後に金属粉を混ぜた塗料を塗り耐久性を高める。

雪の多い地域では、道路にまく融雪剤(塩化カルシウム)の影響で鉄製の立体駐車場がさびやすい。北海道パーキング(札幌市)の前川琢也社長は「立体駐車場は毎年必ずペンキを塗り直さなければならない」と話す。バンジの工法は「少なくとも3年間は塗りなおさなくて済む」(宮原万治社長)という。

新開発した工法を拡販するため、同社は2018年1月をメドに子会社を通じ、施工店のFC展開を始める。首都圏に加え、立体駐車場の補修需要が多い北海道などでFC店に施工を委ねる。これまでバンジエイドやサビキラープロは市販していたが、バンジエイドジェルはFC店にだけ販売する。

FC店を通じ、立体駐車場のほかマンションの非常階段、工場など施工の用途を広げる考えだ。立体駐車場の場合、施工から3年間は塗装が剥がれても無償で塗り直す保証を付ける。品質の高さをアピールし、さび止め塗料など既存商品の販路拡大にもつなげる。17年12月期の連結売上高は前期比7割増の10億円を見込む。

「日本経済新聞電子版より抜粋」