セブン&アイ・ホールディングスは6日、セブン―イレブン・ジャパンが加盟店から受けとるチャージ(加盟店の経営指導料)を1%減額すると発表した。
セブンイレブンが本格的にチャージを減額するのは初めて。

セブンイレブンはコンビニエンスストア最大手として高いチャージを源泉にセブン&アイグループをけん引してきたが、人件費の高騰やコンビニ大手の合従連衡を背景に加盟店オーナーの取り合いが激化している。

日販(1店舗1日あたりの売上高)が約66万円とローソンやファミリーマートを10万円以上上回るセブンイレブンですら、外部環境の変化に合わせて“禁断の果実”に手を出さざるを得なくなった。

「(既存)オーナーの経営意欲の増進と、新規の獲得に向けてのきっかけにしていきたい」――。
セブン&アイの井阪隆一社長は6日の2017年2月期の決算発表の席で、チャージを1%引き下げる理由をこのように説明した。

コンビニ本部と加盟店が規定の比率で売上高総利益を分け合う「粗利分配方式」を採用しており、本部は経営指導料としてのチャージを加盟店から徴収している。
売上高総利益に占めるチャージの割合は土地・建物の所有形態などによって違うが、「セブンイレブンのチャージはローソンなどライバルに比べて、大幅に高い」(関係者)のが実情だ。

米飯類などの充実度などを要因に高い日販を実現してきたことから、今まではチャージが高くても、多くのオーナーを集めることが可能だった。
ただ、セブンイレブンを取り巻く経営環境はここ数年で大きく変わった。

1つ目が人手不足による人件費の高騰だ。
コンビニの店舗は1店舗あたり約20人のアルバイトを抱えて運営しており、人件費が運営コストの中でも多くを占めている。
有効求人倍率の上昇などでその人件費が「急激に上がっている」(井阪社長)。
セブンイレブンの既存店売上高は55カ月連続で前年同月を上回っているものの、人件費の上昇が加盟店収益を圧迫しつつある。

加えてファミマと旧サークルKサンクスが合併し、国内の店舗数がセブンイレブンと匹敵する状況になった。
ローソンも中堅コンビニのセーブオン(前橋市)のほぼ全店をローソンに転換するとともに、スリーエフやポプラなどと連携を強化している。
コンビニ業界の寡占化が進むにつれ、オーナー確保が困難になりつつある。
既存のオーナーの中にも厳しい労働条件などに対する反発は少なくない。

チャージの引き下げは9月1日から実施する予定で、チャージを1%引き下げることによる影響は18年2月期に約80億円。年間では160億円になる見通し。
今回の引き下げによる利益への影響は決して少なくないが、今まで禁じていたチャージ減額が今回で終わらず常態化することになるようならば、フランチャイズチェーン(FC)方式で店舗を拡大してきたセブンイレブンのビジネスモデルが危機に陥ることになりかねない。

「日本経済新聞 電子版より抜粋」

コンビニ業界は飽和状態と思われがちですが、実は今でも少しずつ拡大しています。

これまでセブンイレブンは、その圧倒的なブランド力と収益性を武器にフランチャイズ店の拡大をしてきました。
しかし、ファミリーマートやローソンなどの他ブランドも規模拡大や独自路線での差別化などで、セブンイレブンの1強時代に少し動きが出てきたようです。

また、たった1%と思われるかもしれませんが、オーナーにとっても本部にとっても1%はかなり大きいです。

今回はセブンイレブンのフランチャイズ本部が身を切る形になりましたが、これで出店を加速させ、店舗数が増えればすぐに回復するでしょう。